慎重派の暮らし

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【読書記録】水曜日の手紙

 こんにちは。midoです。

 

 とても心温まる小説を読みました。ご紹介します。

 

森沢明夫 『水曜日の手紙』 KADOKAWA 2021年

 

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本の紹介

 水曜日の出来事を綴った手紙を送ると見知らぬ誰かの水曜日が届くという「水曜日郵便局」。主婦の直美は、職場や義父母との関係で抱えたストレスを日記に吐き出すだけの毎日を変えたいと、理想の自分になりきって手紙を出す。

 絵本作家になる夢を諦めて今後の人生に迷っていた洋輝も水曜日の手紙を出すことに。不思議な縁で交差した2人の手紙はかかわる人々の未来を変えていく。

 

読んでみての感想

 森沢明夫さんは初めて読む作家さん。1回目は内容に引き込まれて一気に読んでしまいました。2回目はじっくり言葉を味わって読みました。

 穏やかな内容で、読んだ後に前向きな気持ちになります。じーんと心の奥から癒される感覚も味わうことができます。そして、「誰かに手紙を書いてみたいな」という気持ちにもなります。

 この水曜日郵便局、「鮫ヶ浦水曜日郵便局」というプロジェクトとして実際行われていたそうです(今は閉局)。私も開局している間に手紙を出してみたかったなぁ。

 物語に登場する2人は、それぞれ問題や悩みを抱えていて、時には友人を妬んでしまうけれど、手紙に出会って、自分の中で様々な気付きを得ていく様子がとても印象に残ります。登場するそれぞれの友人もとても素敵です(私は主人公よりも友人の方が好きになりました)。

 個人的には「隣の芝生が青い」と思ったときにはこれを読もうと思っています。手元に置いて何回も味わいたくなる本でした。

 

心に残った言葉

この先もずっとずっとわたしは同じような日記をつけ続けていくのだろうか?同じような毒まみれの日々を過ごしていくのだろうか?

(中略)

浄化は悪くないはずだ。

でも、「つねに浄化を必要とする人生」が、いいはずもない。

 直美が毒を吐き続けた日記を見て我に返るシーン。嫌なことがあって、紙に吐き出すことは私にもあります。でも、吐き出し続けているだけではダメなんですよね。根本から変えてみようと思った言葉です。

 

パートと家事で疲れていたなら、筆をとらなくてもいい。でも、布団のなかでわくわくするような空想くらいはしよう。それだけなら疲れないし、しかも、ちゃんと感情は動かせる。そして、その瞬間のわたしはきっと「生きている」はずだから。

 寝る前にわくわくする空想、私もやってみよう。

 

「だってさ、人生をいちいち深刻に考えている奴は深刻な人生を送ることになるわけだし、人生なんて遊びだと思って楽しく考えていたら、人生そのものが遊びになるわけじゃん?」

 洋輝の友人の言葉。なるほど~!この小説の中で一番好きな言葉です。私、深刻に考えているなぁ。もっと遊び心を持とうと強く思った言葉でした。

 

 10月の末に文庫化された本なので、書店で見つけやすいと思います。ぜひ、一緒に心をぽかぽかさせませんか??

 

 今日もご覧いただき、ありがとうございました。